Concept コンセプト

物 語

月のリズムにそって

太古の人たちは、月の満ち欠けを生活の中に取り入れて暮らしていました。例えば、月が満ちる時期は酵母の活発期でパンを焼き、月が欠ける時期には菌の繁殖を抑える作用があり、保存食をこしらえるように。現代では様々な発達でそうした工夫がなくとも、いつでもなんでも揃う、大変便利な世の中になりました。山好きが高じて、とあるご縁で大菩薩の麓に住まいを移し、電気ガス水道のない山小屋に従事するようになり、先人の智慧を学び、自然のリズムを取り戻して暮らすことの大切さを実感しました。「おいしいたのしいしあわせをこしらえる」をコンセプトに、月のリズムに添い、自然の恵みに感謝して暮らす日々です。

マーマレードのはじまり

瀬戸内海に浮かぶ小さな島に住む私の父は、自然の力を借りて、いろいろな柑橘を育てています。手塩にかけて育てられた安全でおいしい柑橘たち。皮も房もまだまだおいしく食べられます。”捨てるなんてもったいない”そんな発想からマーマレードをこしらえはじめました。皮と実と房を分けて果汁を手で絞り、じっくりコトコトと煮こぼした皮と房を包丁で切り刻む。フードプロセッサーやジューサーは使わず、全て手作業での作業。材料の準備ができたら、全部をサックリと混ぜ合わせて、銅鍋でサッと火入れ。強火で短時間火を通すことで、柑橘のフレッシュさやジューシーさ、皮の歯ざわりがほどよく仕上がります。柑橘の香りに包まれながらのマーマレードづくりは、天然のアロマテラピー。リフレッシュできて、なんともさわやかで心地のよい気分。最後に、瀬戸内の恵みを父の想いとともに、ちいさなビンに封じ込めます。